ふたりの彼。玩具の私
ふたりの彼。玩具の私
成人向完結
発行者:C.B
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/12/07
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
ふたりの彼。玩具の私 第1章 ふたりの彼。玩具の私
 ユタカたちは、二つの細いリングを、それぞれに一つずつ持ち、ミィナの左手の薬指にはめ込んでいった。
「するって言ってない!」
 二個のダイアモンドリングが、彼女の指でキラキラ輝いたが、それすら外そうとする手を押さえ、泣き濡れるミィナを、暖かいハグとキスで包んでいった。
「するって言ってないもん。ダメ! ダメ! ダメー! 私はあなたたちの玩具じゃない! おもちゃじゃ…」
「僕らが君のどれいなんだよ?」
「知ってるだろう?」
「アイシテル」
「アイシテル」
「アイシテル」
「アイシテル」
「アイシテル」
「アイシテル」
「アイシテル」
「アイシテル」
 彼らは、これ以上ない言葉を、繰り返し囁き続けた…。
『それ以上言わないで。それ以上… コワレテシマウカラ…』
 ミィナの心は揺れはじめていた…。
「アイシテル?」
「アイシテル?」
「アイシテル?」
「アイシテル?」
「僕のことアイシテル?」
「怖いんだ…」
「怖いよミィナ」
『怖いって? 怖いの? 怖かったのを押さえていたの?』
 思わず息を飲んだミィナ…。
彼らは力を無くしたように泣き崩れ、嗚咽交じりに話しはじめた。
「君に僕のおとうさんは、子供の頃病死したって言ったけど。ほんとは自殺なんだ…」
「僕の見てる前で首を吊ったんだ! 学校帰りに、なんとなく工場へ遊びに行ったら…」
「その瞬間の目を今でも覚えてる…」
「鮮明に焼きついてるんだ…」
「もう少し行くのが早かったら…」
「人って簡単に死ねるんだよ…」
「死んだらおとうさんに会えるって。ずーっと、ずーっと…」
 その瞬間に戻ってしまった男を、女はきつくきつく抱きしめていた。
「ねぇ。デート… 楽しみにしていたのよ。まだ時間あるわ…」
 ミィナは、彼が死ぬことに対し、なぜ頓着ない態度を取っていたのか、やっと分かった気がした…。
「もう一つ贈り物があるんだ…」
「連れて行きたかったのは”ガラスの城”…」
「どこへでも行くわ」
 そして、自分の心がどこに向かっているのかも知った。
30
最初 前へ 27282930313233 次へ 最後
ページへ 
こちら↓でポチっと応援応援よろしくお願いします。


にほんブログ村 ランキング 小説ブログ 恋愛小説(愛欲)へ


にほんブログ村 ランキングへ→



▼作者にぷちカンパ大感激!


WebMoney C.Bに面白かったらぷちカンパ
TOP