ふたりの彼。玩具の私
第1章 ふたりの彼。玩具の私
*
マンションに戻ったミィナがドアを開けると、下着が一枚転がっていた。
『ブラ?』
拾い上げると、寝室のドア前にも、下着が数枚転がっているのが見えた。
『ははぁーん。きっと、悪戯ね~ まだいるんでしょう♪』
リビングへ向かうまでの廊下の途中に彼らの書斎があり、驚かそうと思い。そのドアを一気に開いた。
「コラ~♪」
広々とした仕事場。カーテンは閉じられ、薄暗い室内に二人の姿は無かった…。
「いない…」
彼たちの居ない部屋が滲んでいく。
ミィナは涙を溢れさせていた…。
『今日が最後のデート…』
そう思うといてもたってもいられず、
「とりあえず急がなきゃ。遅れちゃう」
落ちてる下着を拾い集め、寝室へ入ると、部屋中に衣服が散乱していた…。
「えぇ~ 生理整頓掃除好きなダーリンズなのに~ これちょっとやりすぎ…」
開いたクローゼットから服が散乱し、タンスからは下着… あるべき所になければいけない物が、こぼれ落ちていた。持っていた下着をベッドに放ると、タンスの上から二番目。大事な貴重品置き場に目が止まった。
『まさか!』
中をごそごそかき回し、辺りを見回したが、あるべき物が無くなっているのに気づいた。
「無い…」
通帳と印鑑が消え、横にあるドレッサーの開かれた棚をそーっと覗き、ついにへたり込んでしまった。
『宝石も… ユタカにもらった大事な大事な… ドロボウだ… 悪戯なんかじゃない。本物ノォー!』
ユタカに連絡しようと携帯を取り出したが、怯えて手元が震え思うようにかけられないミィナだった…。
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