ふたりの彼。玩具の私
第1章 ふたりの彼。玩具の私
*
地下鉄の車内で手摺につかまり、トンネルに入った時、ガラスに映りこむ自分の姿をしげしげと見つめていた。
『いくら会社に行く服装だとは言っても、この格好じゃ…やだなぁ… 髪だって梳かして来てない! はぁ~ 女にはそれなりに準備が必要なの… 仕方ないか…』
何かを決心したミィナは、次の駅で降り、歩きながらメールを送信した。
[ごめん。遅れます><; 一時間くらい…たぶん]
*
「ん?メールだ。ミィナだ」
「遅れるってだろう?」
「そうそう」
「ちょっと不都合なことがあると、直接じゃなくメールしてくる癖あるよね ふふ」
「そうだな。そこが可愛い。ふふっ」
「きっと家へ寄って来るのではなかろうか?」
「そんなことしなくて良い贈り物なのにな」
「ま。男子は男子で、スペシャルプランを煮詰めておきますか?」
「そうだな。ところでこの花、お前持てよ」
ユタカは、ユタカに、持っている小ぶりな花束を差し出した。
「花を持つ俺は格好いいょー惚れそうだ。そう言う事で、君が持っていたまえ」
「同じ容姿だろ。たく… あ。お前も買え」
「え? やだよ。照れますがー」
「買え!」
「えー 俺は、これ渡す係りだろう?」
スーツの腰ポケットをポンポンッと叩いた。
「いいから」
「分かった。分かったよ。しつこいね俺は」
「うむ…」
YUTAKAsは来た道を戻り、同じ花屋で、おんなじ花束をこさえてと注文すると、もう一度来た客におばさんは、愛想良く接したが、さっき初めてここに来た時と同様。二人の顔を見比べ、
「そ、それにしても、良く似た双子さんですねー びっくりしましたよ~」
さっき言いたかったことを話してくれたようだった。
「僕らドッペルゲンガーなんです。分かります? どっぺるげんがぁ~」
ユタカが最後の言葉に声色を使い切り返すと、奥に居たスタッフの子が急に吹き出し、おばさんに、コラコラとたしなめられてしまった。
「すいませんねぇ~ 近頃の若い子はもぅ」
「いぇいぇ。僕ら今日プロポーズするんです。一人の女性に」
おばさんは、「それはそれはおめでたいわ~」と、にっこり微笑んでいた…が、『???』って顔しながら奥の作業場へ入って行った…。
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