隣の部屋は可愛い彼女。
第1章 学園のアイドル 相原真琴!
懇願するような顔で、俺を見る相原。
対する男は、あきらかに頭に血が昇り、怒り狂った様子で、
「関係ねえ奴は、出てくんなっ!ぶっとばすぞっ!!」
と、俺を威圧してくる。
すると、「赤井君っ!」と俺に走り寄り、背中に隠れる相原。
そんな相原を見て、逆に俺は冷静だった。
そしてさらに、こいつを近くで見て思い出していた。
この男は、隣のクラスの笹塚。
サッカー部のエースで、スポーツ万能。
おまけに学業優秀で、女子にモテモテという男子の敵だ。
恐らく、振られた事なんてないんだろ。
けっ、感じ悪い。
俺は笹塚を睨みつけ、最後通告をしてやった。
「お前、振られたんだろ?だったら、男らしく諦めろよ。」
「はっ、振られただって!?僕に限ってそんな事、あるわけないだろう?」
両手を広げて、挑発してくる。
とことんムカつく奴だ。
相原は、後ろで怯えながら、俺のシャツを掴んでいる。
何とか、こいつの鼻をへし折ってやりたくなった俺は、
「ぶぅわ~~か、てめえみたいなキモイ奴と、相原が付き合うかってーの。」
と、見下した態度で言い放った。
すると、「くうう・・」と唸りながら、顔をどんどん赤くする笹塚。
そして瞬間、俺に襲いかかってきた。
「殺すぞっ!!お前っ!!」
「キャッ!!」
頭を抱える相原。
後ろには、その相原がいる為、俺は動かない。
肩を掴まれ、今にも殴られそうだ。
「くっ!」やられる前にやるか?
そう考えている刹那――――――
ゲシィィィィッッッ!!!
素早いパンチが顔面を襲った。
痛みは一瞬だった。
しかし、鼻の感覚がなく、ポタポタと鼻血が垂れてくる。
「うう・・・」
俺はよろけた。
「や、やだ・・・怖い・・怖いよう・・・・あ、赤井君・・・」
屈んだ体勢で、俺を見上げる相原。
「ははは、ザマーみろ。俺はボクシングの経験もあるんだよっ。」
そう言って笹塚は再度俺の肩を掴み、フックを放った。
それをモロにこめかみに喰らった俺は、意識が遠のき、その場にひざまずく。
「あ~あ、弱いものいじめして白けちまった・・・、じゃあな、バ~カ。」
最後にその言葉だけ聞いて、俺は意識を失い、倒れた―――――
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