千姫の墓
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/12/01
最終更新日:2012/10/13 14:39

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千姫の墓 第1章 江戸からの使者
「秀頼、その姫が到着したらまず、この城へ連れてきなさい。どんな役を担う為に来たのか、私が見きわめよう。そんなに幼い子を、むごいことをする…」

母は、やはり、姫に同情しているように見えた。

「どちらにしても、姫に心を許してはならぬ。お前は、女を知らねばならぬぞ」

「母上様、まだ子供です。その様なご心配は入りませんよ」

僕がそういうと、母は、それ以上言わなかった。

母との間にも、僅かな違和感が生まれた気がした。

しかし、それは、姫の話をしたせいだ、僕はそう判断して、城には父がいます、ご心配なさいませぬよう、と言って、話を終わらせた。

私の心は、小雨を受ける池の水のように乱され、そこからは、不安が生まれた。


しかし、丁度庭の庵に茶坊主が来ていたから、母と二人、坊主の点前を味わうことになった。

いつもなら、疑問が晴れるまで、僕は食い下がる。

しかし今日は、それが出来なかった。





庵にいたのは、利休の弟子で、とても美しいたたづまいの僧だった。

名は松善という。




その点前は、初めて見るもののように美しかった。


「点前とは、こんなに美しいものだったか。まるで、静けさの中の滝のようだな」

僕は、心を打たれ、初めて会った、松善に、好意を持った。

「大阪城の月例会の時、大殿様のお祝いもなさるのでしたね。その時、若殿様には、顔見せをしていただく事になっていたのです。一足お先に、お会いしてしまいましたね」

「君が当代の名人松の宮か。違う印象を持っていた。もっと小さくて、大人しそうな人かと、そう勝手に決めていた」

「私は小さくはございませんが、大人しそうにも見えないと言う事ですね。確かに、大殿様と、初対面の時、井戸の水を先に使ったのはわたくしでした。若殿様も、大殿様も、お優しいお方。だからわたくしは、こんなにおおらかにしていられるのです」

「そうか、そちがあの、噂の僧か。父は、心から喜んでいたぞ。そちのような者が欲しかったと僕に話していた。ただの話をする相手が欲しかったのだ。父には家臣しかいないからな」

「わたくしにそのような大役がつとまりましょうか。わたくしは、お誘いのままに、出来る限りのお持て成しをしているだけ。それが大殿様のお役にたっているのなら、嬉しい限り」

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