千姫の墓
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/12/01
最終更新日:2012/10/13 14:39

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千姫の墓 第1章 江戸からの使者
それは、同盟を持ちかける打診である。

差出人は、豊臣秀吉。

日の元を一つにするため、一緒に信長を討とう。

そんな誘いだった。

奥方と、三人の娘達の命と行く末は、必ず守る。

だから、内密に、軍勢を出して、我が軍勢の後に続いて欲しい。




私は、打ちのめされ、そして、怒りに体を熱くした。

長政は、私のために死んでしまった。

私と娘達の命と名誉を守る為に。





私は、秀吉に娘を渡すくらいなら……。

そんな考えさえ持っていた。

しかし、長政の懐には、私宛の書がもう一通あった。

私がここに来ると知っていたのか?

私は、震えながら、夫の心に触れた。

自分の死は、お前には関わりの無いこと。

お前こそ生き、命を全うせよ、そして、娘達を活かすのだ。

秀吉殿の言うことを聞け、彼は、私の側だ。

決して恨んではならぬ。




長政の書いた美しい文字を読むうち、私の中の怒りが萎えるのを感じた。


秀吉殿とは、約を結んでいるから、心配入らない。

そう言われても、長政のいない寂しさを埋める物はなかった。

しかし、悲しんでいる隙はなかった。

城に放たれた火の手が、この離れまで、迫っている。

三人の娘達の、怖がる声も聞こえている。

私は、長政の血で汚れた書状の間に、長政の遺髪を挟んで、懐に収めた。
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