千姫の墓
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/12/01
最終更新日:2012/10/13 14:39

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千姫の墓 第1章 江戸からの使者
霧丸は、大阪城を守るための三十人程の忍びの者の一人である。

彼はその頭領から数えて四番目の者だそうだ。

彼の顔は分かるが、その上の三人は、声しか分からなかった。


「お前よりも強い忍びの者が後三人もいるとは、お前の里は、大したものだな」

「いいえ、私に有るのは、覚悟だけです。わが群は様々な力を持っていますから。私など十本にも入りません」

「そうか…。なんだか元気がないな、霧丸。どうした?」

霧丸は、一瞬躊躇したようだ。

しかし、すぐに別段何もございませぬと言って、馬に鞭をいれると、僕を置いて、桃の咲く里の中に消えて行った。



江戸からの使者が来てすぐの頃。

「雷鬼、おるか?秀頼のことだ。江戸から姫の来る前に、秀頼に女というものを教えておけ。姫は大切な人質。姫に気を許さぬようにな」

秀吉は、ただ一人の時、うつけ者の振りはしていなかった。

手の中に残る宝、息子秀頼を守る事だけを考えていた。

「御意。あかつきを差し向けましょう。あしきびの里の媚薬には、何人も逆らえません」

「頼むぞ。大阪の命運がかかっている。秀頼の心が動かぬようつなぎとめよ。勤めはそれだけだ」

「お任せを。五日の内に果たしましょう」

雷鬼はそう言うと、伝令の青ツバメに、里への命を託した。

あしきびの里は、甲賀に属する忍びの里で、大阪城を守る忍びの多くを排出している山間の村だった。

青ツバメの伝言は、その日のうちに、里にいたあかつきの耳に届いた。

自分のやるべき事に必要な草は、あかつきが受け継いだ秘薬である。

あと五日のうちに、若殿に、大阪城と言う恋人を植え付ける。

それが私に与えられた仕事。

あかつきは、悲しげな顔で、秘薬に必要な睡蓮草を摘んでいた。

それは、普通の露草に見えた。

しかし、そこから出る煙を集め、人に嗅がせると、人は、言うことを利いてしまう。

多くは、好きな相手に使われたため、媚薬として、名を馳せた薬草だ。

しかし、その製法は、この里の長の娘にしか与えられない。

今は、未来の娘であるあかつきが、先代ホタルから受け継いでいた。

あかつきは、ある忍びの事を考えていた。

二人とも、生きて放免の日を迎えられたら、必ず子供を持って、里に残ると約束を交わした相手だ。
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