そして僕はヒーローになった
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発行者:小川輝晃
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ジャンル:エッセイ・日記

公開開始日:2010/11/24
最終更新日:---

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そして僕はヒーローになった 第1章 前置き
今思えば、あのときのメロスの想いが僕を駆り立てたのかも知れない。バスもあったんだけど、僕はその5、6キロを自分の力で越えてみたいと考えた。走ることに命を懸ける。いや、命を賭けて走る。とてつもなくシンプルな行為が、だからこそ「走れメロス」が長く愛されている秘訣なんじゃないかな。まあ、僕は舞台の台本を開くまで「走れメロス」は外国の作家が書いたものだと思ってたくらい似非愛読家だけど。
実際には、その稽古中に五社英雄さんという映画監督の作品に出演が決まり、演出家の方に相談した上で僕は降板することにしたから幻の出演作になったけど、僕にとってそれはよい経験だった。
浮いた電車代は自分の足が稼ぎ出したものだ。たった数百円のことだったけど、バイトで稼ぐよりも判りやすくて、とても嬉しかったのを覚えてる。

走ってみよう。

あれから何年か経って、いろんなことを経験したけど、やっぱりここに戻ってくるんだな。
ここ半年、僕はアパートから田町のバイト先までの6キロほどを毎日往復した。バイトだって2週間も休みを取った。一日12キロの練習なんてマラソンランナーから見れば大したことないんだろうけど、そんなことは判っちゃいるけど、なんだってやらないよりやったほうがいい。とにかく命を張るまでの究極ではなくても、今ある自分の生活を一旦すべて停止して「走る」ということだけに賭けてみようと考えた。
「夢中になれる場所」は誰にでも与えられるものじゃないけど、与えられないなら自分で創ればいい。レベルの差はあったって、本気でやれば必ずゴール出来るはず。
その想いだけで、僕はこうして何ヶ月も準備してきた。他人にとってはどうでもいいことかも知れないけど、メロスがセリヌンティウスのために走ったように、僕は僕のために、自分で自分を信じてあげるために走るんだ。ただ必死にね。
 
もちろん、この計画を思い立ってからいろんな人に話したけど、見事あらゆる人に馬鹿にされた。なにが愉しいんだってね。「じゃあ今の暮らしが愉しいんすか」って口に出そうとしたけど、それは止めておいた。僕はとにかくひとこと多い。それでいろんなとこでいろんなことで喧嘩した。しまくった。
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