そして僕はヒーローになった
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発行者:小川輝晃
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ジャンル:エッセイ・日記

公開開始日:2010/11/24
最終更新日:---

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そして僕はヒーローになった 第1章 前置き
答えがまったく見出せないまま、僕は偶然バイト情報誌で「演劇」の仕事を見つけた。小中学校向けの演劇鑑賞会を行う劇団だったんだけど、なんとそこでの配役オーディションで、僕はメロスと赤鬼に選ばれた。知っての通り、どちらも主人公だ。確か劇団員もいたはずだから、思い切った配役だったと思うんだけど、僕なりに選ばれた理由を挙げるとすれば「演技」だと思う。いや、ごめん。別に僕が格段に上手いってことじゃない。出来ればそうでありたいけど、実は二通りの演技を披露したんだ。
オーディションでは自己PRのあと、紙に書かれた台詞を読み合わせの如く演じることが多い。大抵の俳優は(僕らのようなレベルのね)前に演じた人のコピーをしたがる傾向にあるんだけど、その時僕は「自分に出来ることって何なんだろう」って考えたんだ。
自分に出来ること。いや、自分にしか出来ないこと。
出した答えは、同じ台詞を「怒り」と「泣き」で演じ分けることだった。陸上でもなんでも僕はそこそこに出来たから、ふたつのパターンを見せることで総合点を稼ごうとしたんだろうと思う。審査員には訝られたけど当時の演出家は快く了承してくれて、僕はその両方を演じてみせた。
もちろん配役が決まってから当然の如く「ズルイ」と異論を唱える人が出た。知ってたら俺もやった、なんて理由を突きつけられた。これは言わば「コロンブスの卵」だ。見つけた人の手柄だと思うけど、僕はいきなり同時進行で2作品の主役は難しいと提案して、結局「泣いた赤鬼」では赤鬼君の友達の青鬼君を演じることになった。
あんなに悩んでも見つからなかった「夢中になれる場所」を、僕は手に入れた。

オーディションに合格した僕は稽古のために上石神井から吉祥寺まで通うことになった。
電車で行くには西武新宿線から一旦高田馬場に出て山手線に乗り換え、新宿から今度は中央線に乗ってUターンして戻るしかなかったんだけど、これじゃ無駄に時間とお金が掛かりすぎる。しばらく悩んだ末にふと思い立って地図で確認してみると、まっすぐ南下するだけに見えた。

そうか。走ってみよう。
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