そして僕はヒーローになった
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発行者:小川輝晃
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ジャンル:エッセイ・日記

公開開始日:2010/11/24
最終更新日:---

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そして僕はヒーローになった 第1章 前置き
これは余談だけど、19才の時バイトしてた心斎橋の喫茶店で仲良くなった親日派のフィリピン人が国に帰ることになったんだ。日本が大好きだった彼は無類の忍者好きで、店を辞めた後、どうしても忍者の里である伊賀に行きたいと僕に相談してきた。僕は元来の世話好きな性格から当時はネットなんて素晴らしい環境も無かったのに本屋とか図書館で調べまくって彼を三重県の伊賀にある忍者村に連れてった。今にして思えば彼のお陰で僕も忍者ってものの片鱗を知ることが出来たんだな。

「日本人はとにかく日本のことを知らない」と外国の人によく言われる。アメリカやイギリスのスパイみたいな人達が、そんな昔にしっかりと本当にいたなんてとんでもなく凄いことなはずなのに、忍者でジェームズボンドみたいな国民的英雄といえばハットリくんくらいだ。まあ「灯台元暗し」なんてことなのかも知れないけど、いざ行ってみるとほんとに面白くて、こんな愉しいものを教えてくれて僕の方こそ今でも感謝してる。彼は彼で一緒に夢中で遊びまくる僕の行動が嬉しかったのかな。僕がむしろ「次行ってみよう」なんて引っ張りまわしたのに、帰り際には「日本人は親切だ」とか喜んでくれて、なんだか誇らしい気持ちだった。
ところがその日バイト先に帰ると、店長がやってきて「おまえは辞めたんだから早く出てけ」とか吐き捨てた。実は店を辞めてからほんの3日ほどだったから彼は社員寮でそのまま暮らしてたんだけど、それが許せなかったらしい。道理としては判るけど、社員寮といったってちょっと広めのワンルームに2段ベッドが4つも置いてあって、いつも4、5人が一緒に寝泊りしてる雑居部屋だ。帰れなくなった僕らバイトだって何回も泊まってた。それまで10年ほどの間、真面目に働いてくれてた彼がほんの何日か残っていたのがどれだけいけないっていうんだろ。思わず僕が口を挟んだら「君は関係ない」とか言われたけど、それこそ関係ない。もうこっちがカチンときた。その夜もバイトだったはずの僕は、客がいるっていうのにそのまま店の奥にづかづか入っていって、お冷用のグラスが20個並んだシルバーのお盆があるでしょ。あれの3段重なった奴を全部持ち上げて「俺も辞めてやるよ」とか売り言葉に買い言葉な感じで喚いてから床に叩きつけた。
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