俺と妹
第12章 母の勘
◇は俺の腕の中で
スヤスヤ眠ってる。
何度見ても愛しいその姿。
俺は◇の頬にそっとキスをして
先に起きた。
1階へ降りると
母さんがもう起きてて
少しドキッとする。
隆)おは…よ…
母)おはよう。
隆)……
母)…よく…眠れた?
隆)え?
母)……
隆)うん。
母)……
隆)母さんたちは?
母)……ええ。
隆)……
なんか…少し様子が変な気がする。
母)あの子は?
隆)え?
母)◇。
隆)…まだ…、寝てんじゃない?
母)……自分の部屋で?
隆)うん…。
なんで…そんなこと…
母)お母さん、起こしてこようかな。
隆)えっ!!!
母)……
まずい。
あいつは今…俺の部屋で寝てるし…
隆)いいよ、俺が起こしてくる。
母)……
隆)母さんは用意しててよ…
母)……わかったわ。
俺は慌てて2階に戻った。
なんだろう…
母さんのあの感じ…
まさか…
今日一緒に寝てたの…バレてる?
いや、まさかな。
母さんも父さんも
夜は2階になんて絶対来ないし…
昨日は…
◇だって声をおさえてたから
聞こえてないはず…
◇)あ、おにぃちゃぁん…
眠たそうに◇が俺の部屋から出てきた。
◇)おはよぉ…
隆)ん、おはよ。
◇)んーーー……
むぎゅっ
隆)こら、やめろ//
◇)なんでぇ……
母)◇…??
隆)!!!!
母さんが下から見上げてた。
母)起きたの?
◇)お母さん…おはよぉ…
母)何してるの?
◇)お兄ちゃんに抱きついてる〜〜
隆)やーめろ!
◇)やぁん〜〜〜
隆)こいつ寝ぼけてんだよw
母)……
気まずい…
隆)ほら、顔洗ってこい。
◇)はぁい……
◇が俺に抱きついてくるのなんて
別にいつものことなんだけど…
なんか…母さんの視線が…
◇が顔を洗ってる間に
俺は先に1階に降りた。
テーブルにはもう朝食が並んでて
俺は自分の定位置についた。
母)◇は…本当にお兄ちゃんっ子ね…
隆)……
父)昔からだもんなぁw
母)どうしてあんなに
隆二のことが…好きなのかしら…
隆)え…?
父)いいじゃないかw
兄妹は仲が良い方が♪
母)……
母さん…
何か…気付いてる??
母)ねぇ隆二…
隆)な…に…
母)◇は…あなたの大事な妹よね?
隆)……
母)……
なんで今更そんなこと…
ああ、母さんは気付いてる。
母さんの目を見てそれがすぐにわかった。
母)ねぇ、答えて隆二。
隆)……
父)どうしたんだ母さん。
母)……
隆)大事な…妹だよ。
母)……
隆)妹……だよ。
母)……
父)どうしたんだ!
二人とも暗い顔して〜w
◇)おはよぉ〜〜!!!
父)お、来たな、寝ぼすけw
◇)寝ぼすけじゃないもぉん!
えーーい♡
隆)…っ
◇が後ろから俺に抱きついてきた。
◇)お兄ちゃん置いてっちゃうんだもーん。
母)離れなさい。
◇)え?
母)そうやってベタベタするの…
もうやめなさい。
◇)…っ
父)どうしたんだよ母さんw
母)あなたは黙ってて!
父)…っ
静まり返る食卓。
◇)お母さん…どうしたの?
母)いいから早く座りなさい。
◇)……
それから無言の気まずい朝食を終えて
俺は自分の部屋に戻った。
母さんは気付いてる。
どこまで…気付いてるんだろう。
俺が◇を好きだということ?
俺たちが…互いに想い合ってるということ?
それとも…
毎晩こんな関係を続けてることも…
◇)お兄ちゃん!行ってきまぁす!
隆)ああ、行ってらっしゃい。
◇が俺に抱きついてこようとして
俺は思わず突き放した。
◇)おに…ちゃ…ん?
隆)…ごめん。
◇)…っ
そんな…悲しそうな顔すんなよ…
◇(行ってきますのチューは?)
◇が俺の後ろを気にしながら
小さな声で言った。
隆)今日はしない。早く行け。
◇)…っ
隆)ほら。
◇)お兄ちゃん…怒ってるの?
隆)何も…怒ってないよ。
今にも泣き出しそうな顔してる。
隆)怒って…ないから。
◇のやわらかな頬にそっと触れると
◇が背伸びをして
俺の頬にキスをしてきた。
◇)えへへー♡
隆)…っ
◇)行ってきまぁす!♡
◇はにっこり笑って
学校に行った。
父)なーんだあいつはw
ほんとに隆二が大好きだなw
隆)!!!!
息が止まるかと思った。
父さんに見られてた。
父)俺が会社に行く時なんか
あんなのしてくれたことないのになぁw
母)何の話?
隆)…っ
父)◇がさ、隆二のほっぺたに
チューってw
ほんと可愛いなーあいつはw
母)!!!
隆)……
母さんが俺をキッと睨んだ。
隆)何も…ないよ。
母)……
何もないって…なんだよな。
毎晩…あんなことをしておきながら…
母さんの目はもう騙せない。
これからのことをどうしようと
その日1日俺の頭の中は
ずっとそればかりだった。
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