THE D-SIDER 1
第1章 STORY1「出会い」
何故このようなことが・・・そんな葛藤だけがただ頭の中を激しき回っていた。
あの穴の先に向かいたくても、怖くて到底足を運ぶことができない。
一方、穴の向こうで仮面の男は胸のシグナルを軽く叩いた。
するとマスクの一部がシャッターを開くように収まっていき、覆っていた素顔が露出する。
そう、紛れもなくあのフリージャーナリストと明に名乗っていた青年だったのだ。
あの気さくで飄々とした素顔はそこにはなく、厳しく険しい表情であった。
激しくアラーム音とともに点滅していたシグナルの点灯も消え、アラーム音も次第にしなくなっていく。
そして胸元から突然取り出した金属製のカードを取り出し、怪物になりさがった小野木の死体に向けて勢いよく投げつけた。
カードは勢い良く小野木の額に突き刺さり、こう書かれていた。
[Erasure completion(抹殺完了)]
D‐SIDER
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