父さんも母さんもアイシテル
第1章 父さんの想い
……
夜になって、僕は病院の外のベンチに座っていた。
「父さん…母さんが死んじゃう…」
僕は呟いた。そして携帯を取り出して、父さんの電話番号を表示した。
そしてかけてみた。
「!!」
電源が切られていない。プルル…という音がしていた。
「父さん!!」
まだプルルと鳴り続けているのに、僕は思わず言った。
「父さん!!」
プツッという音がした。「留守番サービスです」という声がしたが、僕はすぐに言った。
「父さん!母さんが死んじゃう!…母さん、父さんのご飯しか食べないって言って…病院連れて来ても点滴させないんだ!!父さん生きてたら、父さんが手術した病院へ来て!!本当に母さんが死んじゃうっ!!父さん!」
電話の向こうでツーツーという音が帰ってきていた。留守電はいつの間にか切れていたのだ。
僕は泣きながら携帯を閉じた。
「父さん…僕たちを捨てないでよ…」
僕は呟いていた。
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