父さんも母さんもアイシテル
父さんも母さんもアイシテル
成人向完結アフィリエイトOK
発行者:如月玲
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:---

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
父さんも母さんもアイシテル 第1章 父さんの想い
……

警察に失踪届を出して2日が経ったが、父さんは見つけられなかった。
最悪の状況しか思い浮かばない。

また困ったことに、母さんが何も食べなくなった。

父さんが作ったシチューを最後に、母さんは何も食べていない。僕も食欲がなかったが、僕まで倒れたら父さんを探すことだってできなくなる。
僕は、父さんを探しまわった。ただ闇雲に…。父さんの会社の人も探してくれているようだ。
…ただ、父さんは見つからない。携帯も電源が落とされたままのようだった。

そして…母さんは起き上がれなくなった。僕は病院に母さんを入院させた。

お医者さんに怒られた。だが怒ったお医者さんも母さんは困らせた。

点滴をさせないのである。無理やりしても、自分で引っこ抜いてしまう。
僕は泣きながら母さんに「父さんが帰ってきて母さんが死んでたら悲しむから」と説得したが、母さんは首を振るばかりで、言う事を聞いてくれなかった。

「もう父さんは死んでいるのよ。…母さんも行かなきゃ…」

うわごとのようにうつろな目でそう言いながら、僕の泣いている顔を手でなぜた。

「いやだ…母さんまで死んじゃいやだ…!お願い…僕を独りにしないでよ!!やっと…やっと幸せになれたのに…!」

僕がそう言うと、母さんは僕を痩せた胸に抱きしめてくれた。

「愛してる…母さん…」
「私もよ良介…」
「だったら…お医者さんの言う事聞いて…。お願いだから…」
「…だめよ…父さんがまたご飯作ってくれるまで…母さん…何も食べられない…」

僕は泣くことしかできなかった。
8
最初 前へ 567891011 次へ 最後
ページへ 
TOP