父さんも母さんもアイシテル
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成人向完結アフィリエイトOK
発行者:如月玲
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:---

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父さんも母さんもアイシテル 第1章 父さんの想い
……

体が起こせなくなっている母さんの横で、僕はずっと座っていることしかできなかった。
月の明かりが、窓からカーテンを通して部屋に入ってきている。
ぼんやりとその光に浮かぶ、母さんの痩せた顔を僕は見ていた。

「痩せたけど…綺麗だね…母さん…」

僕はそう呟いた。

「…父さん…来るからね。…きっと…さっき…電話がつながったんだよ。…留守番電話だったけど…もし聞いてたら…」

僕がそこまで言った時、病室のドアが音を立てて開いた。
僕がびっくりして振り返ると、父さんが息を切らして立っているのが見えた。

「!!父さん!!!」

僕は思わず椅子から立ち上がった。
父さんは僕を見ず、母さんの体に覆いかぶさるようにして抱きついていた。

「絵美っ!!目をあけろ!絵美っ!!」

父さんの言葉に、母さんが目を開いた。

「あなた…」
「絵美…ばか…死のうとするやつがあるか!お前には良介がいるんだぞ!」
「だって…あなたもいないと…だめだもの…」

僕は流れる涙を手で拭いながら、父さんと母さんを見ていた。
父さんは母さんに口づけた。
僕はそっと病室を出た。

……

ほっとして力が抜けた。僕は病室の外のソファーに座りこんでいた。
病室から母さんの泣き声と、父さんの怒る声が聞こえる。

「…今度は…僕が出て行かなきゃ…。」

僕は思わずそう呟いた。
父さんの策略だったとはいえ、父さんが家を出て行ったのは僕のせいだ。
僕は最初からいらなかった子だった。
あれだけ愛し合ってるんだから、子どもなんていなくたっていいじゃないか。
そう思った。
僕は立ち上がって病院を出た。

月が、とても綺麗だった。
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