あなたの仰せのとおりに…
第2章 初デート
(図星だー…なるほどね。)
私はほっとした。
秀介君はグラスを置いて、目の前に広がる夜景に目をやった。
「…わかるんだ…」
「わかるわよ。…でなきゃ、こんなおばちゃんの相手なんてしないでしょ?」
私はワインを口に含んだ。
「僕を振ったのは、50歳の人です。」
「ぶっ!」
私はワインを吹いてしまった。
「やだ、ごめん!!」
私は目の前の汚れたガラスをおしぼりで慌てて拭いた。
秀介君がくすくす笑いながら、一緒に自分のおしぼりで拭いてくれている。
「…やだ、今の嘘なの?」
ボーイが新しいおしぼりを持って来てくれた。私は頭を下げて受け取りながら、秀介君に言った。
「…いえ…本当です。」
「!!」
私はグラスを持ち上げたが、それを聞いて降ろした。
「…本当なの?」
こんなイケメンを?…何?何か変な癖とか…
「旦那さんにばれたんですよ…」
「!…不倫だったの!?」
「ええ…」
あるんだ現実に…。…でもわかる…こんなイケメンなら、旦那がいてもついふらふらと…。
「今でも好きなの?」
秀介君は固まったように動かない。…まだ好きなんだろう。…そう思うと、ちょっとジェラシーを感じた。
「青田さんは、独身…ってあったけど…」
「バツイチ」
私はそう言って、肩をすくめた。
「そう…なんだ…」
ちょっと秀介君の目が色気を帯びたように見えたけど…気のせいだと思うことにした。
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