凍りついた身体
第4章 4章 噴水池の辺で
冷えと さっきまで 摂取していた アルコールが腹部に溜まっていて
「トイレに 行ってくるわ」と 私は 席を立った
「あら 私も 行きたかったの」
彼女は すばやく立ち上がって スタスタと ヒールの音を立て
公衆トイレのほうに 私に先んじて 歩き出す
それが 右手の 男子トイレ棟に まっすぐ向かうのだ
「待ってよ もう 止めてよね そういうことは」
過去にも 前例は あった また彼女の悪癖が 始まる
人の気配のない 公衆の男子トイレで 禁断の排泄行為が
彼女の リスクを賭けた スリリングな 自慰行為で
さすがに 今日は 停めようと 私は 後を追って入る
そのときはまだ 彼女も私も まだ酔いに フラフラと彷徨っていて
半分は 夢見心地だったから なんともなかったけど
それが 後の 現実に引き戻される惨劇が そこに
待ち構えていたとは まるで 気配も感じてなかった
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