真理の探求者
第2章 第一話 神
「君の世界で物語として語られている物に近いかな」
曰く、魔獣がおり、魔物がおり、精霊がおり、亜人がおり、
魔族がおり、そして人が居る。
盗賊も居るし山賊も居る。海賊だって居る。
凶暴な亜人が居れば人と共に暮らす亜人も居る。
人を嫌う精霊が居れば人を好む精霊も居る。
動植物も豊富で、人を食うものから何も無くても魔力だけで育つものまで多種多様。
「だが全てに言える事は、『命の輝き』があるという事だ。
俺は、この命の輝きが好きなんだ」
そう穏やかな顔で語る彼は、
本当に命あるものが好きなんだろう。
しかし、穏やかだった彼の顔が少し曇る。
「しかし、最近その輝きを脅かすものが居る」
何でも、他の世界から流れてきた異形らしい。
「どこかの世界では"メア"などと呼ばれているらしいがね」
曰く、世界が何らかの理由で滅び、
そして滅びてもなお消滅しなかった世界の一部。
それは歪みとも言えるものを生み、
その歪みは周辺の世界へと侵食していっているそうだ。
その中に、通常は超えられないはずの、
管理領域の壁を越えてくるメアが居るらしい。
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