真理の探求者
第2章 第一話 神
「本来なら君も、次元の奔流に流され、どこかに辿り着く前に死ぬはずだった」
しかし、俺の世界の管理者が俺の人格だけでも救い上げてくれたらしい。
そして俺は元の世界では一度死んでいる。
新たな肉体を与える事も一応出来たが、俺の目標を知り、
ならばその目標に近づけるような世界へ送ることにした。
そうして、この世界へ送られてきたらしい。
「君の世界の管理者が君の目標を気に入って、見てみたいと思った。そして、俺もだ」
なるほど、ならば俺はこの人達に救われてここに居るようだ。
しかも俺の目標に近づけるように便宜まで図ってもらって。
俺が深々と頭を下げて礼を言うと、
彼はうんうんと頷きながら嬉しそうな笑顔で、どういたしまして、と返してくれた。
俺の居た世界の管理者にも礼を言いたいが、流石に無理なようだ。
しかし一度繋がらないはずの世界を移動したのも事実。
いずれ会える事もあるかも知れない。
いや、是非礼を言いに行こう。ああ、また新しい目標が出来た。
「本当にいいな、君は。好感が持てる。
他の管理者と話した事もあるが、君ほど好感が持てたのはそういない」
そう語る彼は本当に嬉しそうで、
どうやら今のところ選択ミスは犯していないようだ。
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