真理の探求者
第2章 第一話 神
夕side
「…ここは、どこだ?」
確か俺は多次元炉心のエネルギー暴走に巻き込まれてどかへ飛んだはずだ。
だが、俺が居るのは何もない、真っ白い空間。
五体満足だし頭痛や眩暈といった症状も無い。
何の変化も無く、ただ白い空間に立っている。
白い空間は一部屋分のスペースがある。6畳ぐらいだろうか。
天井は4m前後といった所。
持ち物は着ていた私服とその上から着ていた白衣、
そしていつも掛けている黒縁の眼鏡だけ。
大して高いものではないし、
折角の多次元旅行が手ぶらというのはなんだか寂しい気がする。
「やあ、調子はどうだ?」
暫く考え込みながら周囲を見回していると、背後から声を掛けられた。
驚いて振り向くと、そこには先ほどまでは居なかったはずの男性が立っていた。
長身の優男、といった風貌で、緑色の髪と金色の瞳が印象的だ。
顔立ちや容姿も十中八九イケメンと呼ばれる類の人物だろう。
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