真理の探求者
第1章 プロローグ
新藤(しんどう)夕(ゆう)、享年27歳。
第一次世界電脳大戦終結の功労者の子孫にして、
父の跡を継ぎ、24歳の若さで多次元研究所の研究主任に就任した天才。
幼い頃より培ってきたその才によって多次元エネルギー炉心の開発に成功。
そして、多次元エネルギー暴走の犠牲者となった。
彼の功績によりワープ航法が開発された事で、
人々は生活の場を宇宙へと広げて行く事になる。
それは彼がこの世界から消えて数十年以上も後の事。
だが、それから数百年の時が経っても、
彼は歴史上最高クラスの知名度を誇ることになる。
彼の残した研究成果を完成へと導いた者達の目標、それはただ一つ。
「主任の帰り道を作る」
今でも彼の慰霊碑と研究所は残っており、
彼と共に研究をした研究者達の子孫が、日夜研究を続けている。
これは、一人の男の、とある世界での終わりの物語。
それは真に終わりなのか、あるいは新たな始まりなのか。
探求者は、新たな始まりへと至る。
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