真理の探求者
第1章 プロローグ
「直樹(なおき)!」
「はい!」
信用出来る助手の名を呼ぶ。
俺の目的を唯一話してあり、
俺が居なくなった時のために俺の持ちうる全てを話してある俺の弟子のような存在。
俺より年上だけど。5つほど。
あとは、あいつに任せればきっと上手くやってくれる。
「絶対、何があっても中断するな。最後まで解析して、コレを物にしろ!いいな!」
「主任!?まさか!無茶ですよ!」
流石に付き合いが長いだけあって俺が何をしようとしているのか分かってるみたいだな。
ま、どうせ両親はもう他界してる。
恋人なんて出来た事は無いし、友人と言っても研究仲間のあいつらぐらいだ。
あいつらなら、俺の犠牲を無駄にはしないだろう。
…出来れば帰って来たいなあ。俺の家に飛ぶとか出来ないだろうか。
今更になってそんな事を考えつつ、握力に限界が来た俺は機材から手を離し、
光の中へと吸い込まれていった。
「夕(ゆう)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
彼を飲み込んで数分後、光は少しずつ消えて行き、
光が完全に消えてさらに数分後、炉心が停止した。
実験結果は奇跡の大成功。
これが、後に第二次科学革命と呼ばれ、広く常識として知られる事になる、
多次元エネルギーの発見、その顛末である。
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