Mの断層―非日常的な現実編
第5章 5章 公園
男の 半そでシャツを捲った 二の腕には
あるヘビーメタルロックバンドの シンボルが
タトウ 彫られている のに気付いて
私が 学生時代に 夢中になったバンドで
ジョギングを 休んでいたベンチで
そのことで 男に 初めて口をきいたら
思いがけず そのことに関しては
男は 饒舌で 詳しかった
音楽の趣味 以外でも
一定の教養度も ある雰囲気を 感じる
でも 話しぶりは 一方的で 無駄もなく
会話としての 発展も 枝葉も見出せないし
私に 無関心で ほとんど眼も向けない
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