変わり者達の白昼夢
変わり者達の白昼夢
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発行者:花村漁火
価格:章別決済
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/10/16
最終更新日:2010/10/15 23:41

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変わり者達の白昼夢 第1章 仕事
「はーい、どいてどいてー」
 街中に現れたソレは異界。黒く混沌としていて、奥を覗くことは不可能。
 少しの吸引力を持っており、その異界よりも小さいものを、個体単位で連れ去っていく。
 個人の力での事体収拾は難しく、そのほとんどを国に任せているため、一般人が見る機会は、こうして街中に突如として表れた時くらいだ。
「はーい、待った待った」
 そして薫の前には一人の男が、どこからともなく降ってきた。そう、まるで一瞬飛びあがったかのように、突如としてそこに現れたのだ。
 男は君の悪い笑顔を浮かべ、糸目は薫を睨んでいるのか、それともみつめているのかわからないほどだった。
 その数秒後、男の仲間であろう数人がかけつけ、同時に花埼も合流する。
「なんのつもりだ、ハナレ」
 男の名前は傍先離(そばさきはなれ)、ここ帝都一番の探偵事務所の所長である。
「僕たちが怒られないよ~に、この異界は僕たちが処理しま~っす」
「ちっ!! 」
 薫は盛大に舌打ちをし、花埼の肩を叩いて事務所に退散。
 傍先の事務所は、探偵業ともう一つ“封道(ふうどう)”を商売にしており、勿論国からの認可も降りているため、国の許可なく異界に入り、事態を最後まで収拾させることができる。
 つまり、権力的な問題から、仕事場を奪われたということだ。

 ほんの少しの道のり、イライラを回りに散布しながら薫は歩き、事務所へ繋がる二階への階段に、子供が一人座っているのが目に入る。
 半ば乱暴にその横を通り、それでも大人な態度を忘れずに「ごめんよ~」とだけ吐き捨てて、ズンズンと階段を上がっていく。
 その後ろを通る花埼は少し戸惑った。体が大きい分、いくら子どもと言えど、その横を通り抜けることは困難に近かった。
 薫は事務所に着くや否や、上着を応接椅子に投げ捨て、さっきまでいた、まだ微妙にぬくもりが残る自分の椅子に腰かける。そして外を再び眺めて、遠巻きから野次馬をしている人たちを見下ろす。
 ドアが閉まる音がする。今後の身の振りを相談しようとした矢先、足にひっついている何かを見つける。
「お客様です」
 その客とは、さっき階段でうずくまっていた少年だった。
「お前はバカか、私たちは過去最高記録タイの一週間と三日仕事が無い生活を送ってるんだ、ガキの遊びに付き合ってる暇なんざ、これっぽっちもないんだ」
「この子がお客様です」
「はぁ~? 」
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