日本をナナメに見る
第16章 忍び寄る景気後退リスク アベノミクスの正念場
これは”世の中の不景気はデフレが原因であり、インフレに誘導すれば景気は上を向く”という考えによって行われてきたものだ。
確かに世の中の物価は少しずつ上昇をはじめ、大企業の好決算も続き、すべては計画通りにうまくいっていたのである。
にもかかわらず、なぜか景気が失速し始めたのである。
政府と日銀にすれば『一体なぜ?』となるのだろうが、こう考えればつじつまが合うのではないだろうか?
今回の物価上昇は需要とは関係なく、円安によってもたらされた原材料の高騰が原因であり、度重なる値上げは逆に買い控えを起こし始めている。
”円安による恩恵で多くの企業が好決算を出す事が出来たが、それらのもたらす賃上げ等の経済効果を値上げによる消費の落ち込みが打ち消しつつある。”と言うシナリオだ。
もちろん今回の景気減速が一時的なものであると言う可能性も残されている。
だがもし…
このシナリオがおおむね正しいのなら事態は深刻だ。
なぜなら日銀はインフレになるように政策を打ち続けているからだ。
本来”景気を良くするために行っている政策が不景気を招く”という皮肉な結果を、どう日銀と政府が解決するのか?
おそらく事は簡単ではないはずだ。
まさにここからが安倍政権の正念場なのかもしれない。
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