紅桜神伝
第1章 ~出会い~
そう言って、荷物を持ってくれたのは才蔵、この子は桜の八つ下の北斗流抜刀術道場の門下生、私の弟弟子で試合の練習を今日見ることになってる。
「掃除にはだけどな」
そして、このえらそうなのは桜と同い年年でこの道場主、つまり北斗一馬(かずま)先生の息子の清太、私の一つ下で17才なのに子供ぽい所がなにかとつっかかってくるんだよね、そんなに私に負けたのが悔しいなら正々堂々、言えばいいのに。
「こら、清太!そんないい方は無いだろう、桜ちゃんは荷物が重くて持ってくるのに時間がかかったんだから仕方ないたろう」
そして、この人が私の憧れている兄弟子で清太の一つ上で私と同い年のお兄さんの隼人(はやて)さん、とても一馬先生や和人さんと血がつながっているとは思えない位性格が似ていない。
「どうしてお前は桜さんに対して意地悪を言うんだ、まったく」
この人が北斗一馬先生優しくて、教えるのも上手くて、弟子たちにも慕われている、いい先生なんだけど、いざ稽古が始まって竹刀を持つと性格が変わるし荒っぽくなるからみんなは竹刀を持っていない時を見計らってはなしかけてる。
竹刀を持てば、性格が荒っぽくなるのは性格もわかってるので、なるべく稽古をするとき以外は持たないようにしているらしい。
私も初めは怖くて仕方なかったけど、さすがに13年もたったら慣れてきた。
「ふん、ところでその荷物ってなんだ?」
興味津々な様子で才蔵と桜の持っている物を交互に見ている。
「ああ、これは」
「父上がそろそろ無くなるころだろうって治療道具と今日のお昼にって」
中身を少し開けて先生に見えるように傾けた。
「そうか、いつもありがとうございます」
「大切に使わせて貰うね、こっちはお昼にいただこうか」
「はい、それじゃあ私支度してきますね」
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