果てしなく長い物語
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発行者:岩上智一郎
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:一章 幼少編

公開開始日:2010/09/27
最終更新日:2010/10/29 01:47

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果てしなく長い物語 第1章 果てしなく長い物語 一章 幼少編


「神威君、あなたは何を言っているの?」

「だって別に僕は普通に食べられますよ?」
 クラスの何名かの生徒がクスクスと笑った。





「先生をからかってるんじゃないわよ」

 そう言われてから僕の頬に痛みが走った。
 ピンタを食らったのだ。

 僕は懸命に涙を堪え、椅子に座る。



 給食の時間が終わるまでクラスの雰囲気はずっと暗かった。
 放送のスピーカーから流れるクラシックの音楽だけが、静かに耳に残る。


 この給食の一件で、さらに僕は先生へ手紙を渡しづらくなってしまう。






 掃除の時間、ホームルームと過ぎ、帰りの挨拶をしてクラスメートが帰り始めた。

 できれば僕もこのまま帰りたい。
 そんな事ばかり考えている内に、教室内は僕と先生の二人だけになっていた。


 僕が一点を見ながら考えている様子が、気になったのだろう。
 先生のほうから声を掛けてきた。


「神威君どうしたの? みんな帰ったわよ。さっきの事、まだ気にしているの?」



「ち、違います……」
「じゃあ、早く帰りなさい」


 このままだと渡しそびれる。
 僕は無言のまま教壇に近づいた。


「どうしたの?」




「こ、これうちのお母さんから……」

 やっとの思いで担任の先生にママからの手紙を渡した。
 黙ったまま手紙を受け取ると、先生はすぐに封を開ける。


 できる事なら僕のいない時に読んでほしかった。

 僕はこの先生があまり好きじゃない。







「……」

 手紙を読む先生の手が小刻みに震えている。
 ママほど怖くはないが、見ていていい気分にはならない。

 二人の間に流れる沈黙した重い空気。

 それに押し潰されそうで嫌だった。


 十分ほど時間を掛けて、先生は手紙を丹念に数回読み直す。


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