果てしなく長い物語
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発行者:岩上智一郎
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:一章 幼少編

公開開始日:2010/09/27
最終更新日:2010/10/29 01:47

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果てしなく長い物語 第1章 果てしなく長い物語 一章 幼少編


 ママは僕が小学校へ通いだすと、色々な塾へ通わせるようになった。

 勉強塾、ピアノ、習字、絵画教室、スイミングスクール、幼稚園で主催している体操教室、それに合気道。
 いきなり七種類の様々な塾へ訳も分からず行かされる僕。

 ピアノやスイミングは週に一度だけだったが、他の塾は二、三回あった。
 だから一週間で塾のない日が一日もない。

 でも文句も何も言わず、ママの言うとおり黙々と通った。
 その代わり、学校が終わってから友達と遊ぶ時間はまったくなくなった。


 ちょっと前までは一階の居間で、家族みんなで食卓を囲っていた。

 最近は違う。
 ママが二階の台所で食事を作るようになった。

 何故かパパは、夜になるといない事のほうが多い。
 なので必然的にママと僕ら三兄弟の四人だけで食べる機会が多くなる。


 どんどんパパとママの仲は悪くなっているような気がした。

 しばらくおじいちゃんや、おばあちゃんと一緒にご飯を食べてないなあ……。





 この頃からママは、僕が塾から帰ると家にいないという状況が増えた。

 パパは前から町内のお囃子をやっていたので、夜になるといない事はざらだ。


 二階の一室で、僕たち三兄弟はジッとパパとママの帰りを待っていた。

 幼くても当然お腹は減る。
 弟たちはお腹が減ると、いつも泣き出した。

 そんな時僕は弟二人を連れ、下に降りた。

 一階に行けば、おじいちゃんやおばあちゃんがいる。
 僕自身も一緒にご飯を食べたかった。



「おや、龍也と龍彦はどうしたんだい? お腹減ってるのかい? ちょっと待ってな」
 おばあちゃんは笑顔でご飯の用意をしてくれた。
 おじいちゃんも笑顔で、僕たち兄弟が食べる姿を見守ってくれている。


 何でこんなにおじいちゃんとおばあちゃんは優しいのに、ママは一緒にご飯を食べないんだろう。
 素朴な疑問が唐突に湧いてくる。

 ご飯を食べ終わった弟たちは意味もなくゲラゲラ笑い出した。
 さっきまで泣いていたのが嘘のようである。

 そんな僕も満腹感からか、自然と笑顔になっていた。



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