老人の居る運河
老人の居る運河
成人向完結
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ジャンル:その他
シリーズ:コピーライター 舞

公開開始日:2010/09/20
最終更新日:---

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老人の居る運河 第9章 9章 運河(終章)
その日は 気力なく 休んでしまったけど
翌日に回復すると また 気になって
廃屋のある 橋のたもとまで 運河の方に向かう

薄暗い 室内の 一回には
縄と 木の枝が 床に落ちて 消えた蝋燭が 落ちたまま散らかってはいたけど
何もない 空虚さは 元のまま 何事も 起きてはいなかったように

二階に 登ると 畳の間の 中央の 光が入る場所に
私が 残してきた デジカメと ストラップの切られたブラが
置いてある のが見えた
老人からの 私への 返却物と 受け取った

もう 去って戻らないのだろう 運河の水のように

廃屋を 出ると 橋のたもとの 公衆トイレを使う
用を足して 手を洗って 外に出ると
少し離れた 通りの向こうに 木造の二階家の窓に
男が 双眼鏡のようなものを かざして
私の方を 窺っているのに 気づいた

縛られていたときは 目隠しされていたけど
老人の 投稿に映っていた 男の独りの服装が
同じ色の アロハシャツだったから
あれが 私の身体を 陵辱した 男と 確信したけど

でも 私は 素知らぬ顔で 立ち去ることに決める
何事もなかったかのように 日常に戻るために

老人のいた 運河は 陽に輝いて ゆっくりと流れていた
お別れ
涙が こぼれそうになる

<完>
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