妖怪伝奇帖~浅篠原陰陽師秘録~
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発行者:鴉羽 霞柳
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理
シリーズ:浅篠原陰陽師秘録シリーズ

公開開始日:2010/10/25
最終更新日:2010/10/26 08:23

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妖怪伝奇帖~浅篠原陰陽師秘録~ 第1章 第壹幕「亊之始」
意識が徐々に浮遊感から解放され、現実感を帯びてくる。重たい瞼を上げる。


「おお、目が醒めたか沙織。私ちょっと心配しちゃったぞ。」

「ふぇ……?」


窓から差し込む光が眩しい朝の教室。如何やら机に突っ伏して寝ていたようで、腰の辺りが少し痛い。


「沙織ったら、登校したかと思ったら直ぐに机で寝ちゃうんだもん。其れに中々起きないもんだから、お姉さん心配してたんだぞぉ。」

「んー……」


目は醒めたが、思考が上手く働かない。目の前で黒髪の少女が何やら言っているが、瞼が半開きなのでうまく視認できない。まあ、此元気な声からして誰なのかは明確だが。


「す……鈴鹿…ちゃ…ん……?……」

「ん、沙織、大丈夫?……おぉい沙織ってば、また寝ないでよぉ!」


全く以て彼女の言う通りである。襲い来る睡魔を振り払い、懸命に目を開く。窓から入る清らかな朝風の助けもあり、段々と頭が冴えてきた。


「ふう……お早う、鈴鹿ちゃん。」

「うん、改めてのお早うさんだね、沙織!」


脳が髄まで冴え渡ったところで、色々と確認しておこう。

目の前にいる黒髪の少女、彼女は私の同級生で、名を明日葉鈴鹿(あしたば すずか)という。明朗快活、才色兼備と、非の打ち所の無い美少女だ。……序でと言えば序でだが、自己紹介をしていなかった気がする。

私の名は蘇芳沙織(すおう さおり)。此処、浅篠原学園高等学校二年壱組に所属する17歳だ。特に此れと言ったものは無い、至極一般的で健全な生徒、を自称したいところなのだが、今のところ、周囲がそれをさせてくれていない。

クラスメイトはみんな、私のことを“天然”だと言う。至極真っ当な回答をしたつもりが、周囲を混乱させてしまうことが度々あるが、其れが原因なのだろうか。兎に角、私自身は其れを自覚できていない。多分一生斯のままだろう。他にも私に関する伝説は多数あるらしいが、善く分からないので省略する。


「よう! 蘇芳、明日葉。」

「あ、お早う、宗輔くん。」

「全く朝から元気だね、アンタは。」

「善く言うぜ。然うやって朝から蘇芳をからかってる癖に。」

「ふっ、言うじゃないか葛城! お姉さん受けて立とうかな?」


今やって来た彼は、名を葛城宗輔(かつらぎ しゅうすけ)という。彼もまた私の同級生だ。鈴鹿とは幼馴染みのようで、私とは中学の時に知り合った。鈴鹿曰く、“
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