Day Of Destruction
第6章 兵士になるということは
「ったく……いつからいたんだよ」
俺は他人がいたことによって若干落ち着きを取り戻した。
「今来たばっかよ。これ、アタシんとこにも来たからさ。アンタはどうかと思ってね」
と言って1枚の紙を出した。
……俺と同じ内容の、不幸の手紙だ。
「……姉貴もかよ。ってことは、俺ら家族全員か?」
ランバード家を1くくりに徴兵したのだろうか。
「父さんと母さんは違うみたいだよ。なんか本当に無作為に選ばれちゃったらしいね」
そういった。
昨日も思ったが、姉貴はやはりいつもと変わらない。
それどころか、若干テンションが高めだ。
なんなんだ俺と姉貴の温度の差は?
「なんか姉貴、楽しそうだな」
俺は冷ややかな目で言った。
「そお?まあ、いつ兵隊になるか怯えながら生活するよりは、もう最初っから兵隊になっちゃった方がなれるしいいんじゃない?」
なんとまあ……プラス思考というべきか。
素晴らしい発想過ぎて俺には真似できそうにないな。
俺はそんな姉貴に少し苛ついてしまっていた。
「なんでそんなに軽く考えられるんだよ!兵隊になるってことは……死ぬかもしれないのにっ!」
言ってから気付いた。
自分が無駄に熱くなっている事に。
はぁ、普段の自分なら「姉貴だから」と適当に流してるところなのに、全くどうしたんだろうな。
「……アタシだって、死にたいわけじゃないよ」
ぼそりと、だが確かにそう聞こえた。
その時の姉貴の表情は、珍しく真面目なものだった。
いや、真面目というよりは、悲しげと表現した方がいいかもしれない、そんな顔だった。
が、次の瞬間には、いつものようにニコっと笑っていた。
「まあ、それがアタシ達国民の義務だと思うんだ。……オウラ市が陥落したのって、知ってる?」
バカな。
オウラ市は、ここランスト地方とヴァニスト地方の境にある市だ。
それが陥落したってことは……。
「まさか、ランスト地方に敵が……来たのか?」
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