宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:2013/07/08 01:14

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宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話 第1章 初宵 二つ目の力
亀さんの予想の通りに、尽安先生が歩き去ってしばらくすると、駕籠が二台やって来た。

彼らも、先に来た二台の駕籠も、仲間だと思うと、もう不安はなかった。

四人は、漁師や、行商人の荷車をやり過ごしてから、神田を目指した。



すべてを人任せにして、私は、元気な体を取り戻した。

幾日か眠り続けて、目を覚ました時、私は、紫に見守られていた。

神田の長屋は、綺麗に掃除されていて、垢にまみれた法衣は、綺麗に洗われていた。

「鳶。気分は?」

「…なんともない…少し腹がへりました」

「いまお粥を作るわね。弦太郎さんも、もう起きたのよ。良かった!二人ともなんともなくて」

紫は、何でも出来た。

私とは大違いだ。

お勝手の仕事も、針仕事も、器用にこなす。

私は、初めて一緒に務めを果たした時から、憧れていたんだな。

そう気がついた。

「鳶。元締めから、伝言よ。しばらくお勤めはかけないから、少し休め、今回は良くやった。ですって、お足は私が預かっているわ。明日届けるわね」

あの時の事、紫は、何かを感じたはずだった。

しかし、紫は、私が話を始めるまでは、黙っているつもりらしった。

「命が助かったのも、君のお陰だと、知っている。ありがとう紫さん。私は、動けるようになったら、しばらく、円生寺に修行に入らせてもらいます。大元締めにそう伝えて頂けますか」

紫は、少しがっかりした表情で、粥を作りに土間に降りた。

私は、紫の声が聞こえて来たことを、言うつもりはない。

話が通じるとなれば、紫は、もっと危険な務めに就かされると思うからだ。

決して言うまい。

もう二度と、紫に助けを求めるなんて止めよう。

要として、皆を守る。

私はそれだけは、果たしたいと思うからだ。

私は、目を閉じて、紫への憧れに蓋をしようとした。

「鳶。私は、誰かの役に立っちゃいけないの?いつまでも可愛い紫ちゃんでいなくてはいけないのかな?私、誰かの役に立つなら、辛い事なんかないわ」

私は、答えなかった。

紫の事を巻き込む事は、絶対に嫌だった。

「紫さん、水山と燕弥は、うまくやっていますか?任せてしまって、申し訳ありませんが、私が円生寺から帰るまでお願いしますね」

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