宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:2013/07/08 01:14

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宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話 第1章 初宵 二つ目の力
「妙弥様、またおいで下さいませ、私達もここで、あなたと同じ事をなすでしょう」

正善と話すと、少し元気づけられた。

私の心はまだ痛んだが、足には力が入った。

歩くうち、腹は減ったが、渡された行李は、宝物のような気がして、私は手をつけず、地蔵様の食を頂いて過ごした。

川越の街に入ると、私は忘れようとしていた顔を、また思い出した。

江戸の匂いがしたからだ。

思い人の為に、涙を流す、女の子の顔である。

あの日から、私の胸に住み着いた、紫の顔である。

心は晴れなかったが、三日たつと、私の長屋のある神田の近くまでたどり着いた。

「おい、鳶、やっと戻ったか!そこいらじゅうに、伝言しといてくれってたのんだのによ」

粋な着物を着た、柳多水山の声だった。

「何とか言えよ!ずっと待っていたんだぜ。お前の事もずいぶん心配した。お前は俺達の恩人だからな」

「修行が足りなくてね。だから少しばかり旅をしてきたんです。そして、途中で行き倒れになったと言う訳です」

「兎に角、無事で良かった。何か食いにでも行くか、話はそれからだ」

そうそうに、飯を済ませ、私達は、私の長屋に向かい歩き出した。
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