宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:2013/07/08 01:14

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宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話 第1章 初宵 二つ目の力
気配は、私達の後をついて来た。

皆背後に気を配りながら、走るように歩いた。

空には、厚い雲がかかり、夜明けよりも暗さが増している。

もしも、戦いの相手が黒くまであるなら、私達は神田までたどりつけるのだろうか。

くノ一静からは、何の知らせも入らない。

「静さんは大丈夫でしょうか?」

「心配ないさ。手に余る敵がいたとしたら、すでに仲間を呼んでいるだろう。十番組は、私達とは違う。今は、信じて前に進むしかない」

弦太郎さんは、怖いとは思わないのだろうか。

このまま敵の手に掛かれば、死んだことさえ、誰にも知らされずに、終わるのだ。

親の顔も知らず、仏の道を究める事もできず、紫に…心を見せる事も出来ずに果てるしかない。

そう思うと、急に、胸が熱くなった。

こんなところで死ぬのか…

絶対に嫌だ。

死んでたまるか!

私は後ろを振り返り、一瞬だけ足を止めて、敵の動きを見極めた。

私の目は、暗闇では強いが、動きには弱かったからだ。

弦太郎さんは、振り返る私に、思わず、大声を出した。

「何をしている鳶。走るんだ!」


弦太郎さんは、旅人のいる所まで、一気に走るつもりだったのだ。


しかし、私が立ち止まっても、敵は、襲っては来なかった。

彼らは、私達が弱り、しびれを切らす時を待っているのだ。

私達の向かう道の先の旅人までは、まだかなり距離がある。

それに、こちらの方が高いから、彼らには、私達の存在は、認識されていないだろう。

静の援護は、まだない。

私達は、窮地に追い込まれたと言って良かった。

旅人がもう少し近くにいたなら、攻撃は免れたかもしれないが。

さっき見た所、逃げ場がない上、敵はかなりの人数だった。

再び走り出すと、吐く息が、悲鳴のように聞こえた。

いろいろな考えが頭の中で、交錯する。

私は、亀さんの手を引いて、必死に走った。

亀さんは、だんだんと疲れ、足元がもつれ始める。

それを待っていたように、敵は一気に距離をつめてきた。

私達が、緊張のために疲労したのを見抜いたのだ。

何の前触れもなく、敵は、短剣を投げてきた。

私は片手に引っ掴んでいた法衣で、飛んできた短剣を振り払った。

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