宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:2013/07/08 01:14

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宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話 第1章 初宵 二つ目の力
「静に間違いはない。安心せい。それよりお前、ずいぶんと口がうまくなったものだな。松明まで用意させるとは」

「口などでは…」

「まぁよい。よくやった。あかりがあるだけで、敵は警戒する。敵が手を出す前に終わらせるぞ」


亀さんの号令で、作務衣に着替えた私と、弦太郎さんが、鍬をふるう。

棺桶は、深く埋まっていなくてはおかしいし、土は、固く固められていなくてはおかしい。

しかしそれにしては柔らかい土を、私達はどんどん崩して行った。

初めて鍬を振るった時、おかしいと思い、三度目には、棺桶は空だと確信した。

しかし、土ではない匂いが鼻をつく。

私達は顔を見合わせて、唾を飲み込んだ。

声を上げたいほど怖かった。

しかし、鍬と、乾いた息の音だけが、辺りに響く。

私は、死骸にはなれている、うじのついたものも珍しくない。

しかし、夜中に、墓を暴く罪悪感は、どうしようもない。


そして、恐怖の瞬間は、あっさりと、訪れた。

思い切り振るった鍬が、湿った木にあたり、ガツンと音を立てる。

異様な匂いはいよいよ鼻をついた。

私達は、松明を穴に近づけ、亀さんを振り返った。

私達は、完全に怖じ気づいていて、
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