宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:2013/07/08 01:14

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宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話 第1章 初宵 二つ目の力
「どうだ、やってくれるか?」

私が断らないと分かっていて、元締めは言う。

「はい、どんな勤めも断らないと言う約束ですからね。それに、弦太郎さんがいれば、黒くまの墓参りも不自然には映らないでしょうから」

「気をつけていけ。それから、何かあったら、忍びに任せろ。おまえ達は手を出すな。報告も任せてよい。ただし、墓の中に、黒くまがいた時だけは、おまえが来い」

「元締め、相手は誰なんです。分かっているのでしょう。私達には、言わないおつもりですか?」

私の背中に、久しぶりに、恐怖が張り付いた。

この勤めは、命に関わる。

そんな勘が働いた。

「おまえ達は知らなくてよい。くれぐれもきをつけて行って来い。それだけだ」

私は、はいと返事をして、その場を退いた。

店を出ようとすると、弦太郎さんと亀さんは、すでに、用意が整っている様子だった。

私は、命を差し出すのが怖くてため息をついた。

亀さんは、それを咎めて噛みついてきた。

「坊主のくせに、ため息なんかついて、罰当たりだよ。最近の若いもんはしつけがなってない。しっかりおし!」亀さんは、腰の曲がった婆さんだ、しかし、若い頃は忍びであったというだけあって、歩みは、誰より早かった。

「おっしゃるとおりです。私は、いまだ悟りに至れず、死が怖くてなりません。増してや、仲間を巻き添えにしたらと考えると、足がすくみます」

また叱られるかと思って亀さんの答えを待っていた。

「お前は死なんよ。そういう運の持ち主じゃ。鎖の間に病が流行った時、旅先のお前にふれを出すか止すか、ずいぶん迷ったんじゃ。でもお前は、そんな事お構いなしに、無事に戻って来た。きっと仏様が守ってくれてるんじゃな」

亀さんにそう言われると、なんの根拠もないのに、私は、安心できた。

「お二人共、落ち着いていらっしゃる。私は覚悟が足りないんだな」

弦太郎さんが、にこりとした。

「もしも、黒くまが生きているとしたら、彼らの目的が読めてくる。鎖をそっくり手に入れたいんじゃないのか?私達を疑心暗鬼に陥れ、そのまま頭を入れ替える。しかしな、鎖にはいろんな奴がいる。奴らの企てに気がつく奴もいたってわけさ」

私は、訳が分からず、また下を向いた。

「それはますます、自信がなくなります」
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