宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話
アフィリエイトOK
発行者:桜乃花
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/11/06
最終更新日:2013/07/08 01:14

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
宵の鳶、風聞きの紫、鎖八番組夜話 第1章 初宵 二つ目の力
いいかげん、江戸に帰らなくてはならない。

私には荷の重い務めを終えて、江戸から逃げて来たのだ。

あれから十日が経ってしまった。

私は、不安を見透かされたくなくて、逃げているに過ぎなかった。

しかし、僧の旅は、厳しく、私の体は、自分で思うよりも、はるかに弱っていた。

倒れたのが、寺の近くでなければ、私は今頃、御仏の世界に召されていたかも知れない。

二日間、布団に眠り、食を頂くと、私はずいぶん人らしくなった。

今日は、自分で身支度できるようになり、朝の読経に混ぜてもらっていた。

もう歩ける。

そう判断して、私は江戸に向けて出発する事にした。

しかし体は、釈杖を頼りに支えなければならなかった。

ふらふらとして、思わずついたため息を聞かれてしまった。

「まだお辛いのでは?」

私の世話をしてくれた、正善と言う僧の声である。

「妙弥様、これをお持ち下さい。固く焼いたむすびや、乾物が入っています。住職が心配なさって、私に申しつけたのです。あなたは、ご自分に厳しすぎます。どうかご自愛下さいまし」

「ありがとうございます。お礼の代わりに、困ったひとがあれば、今度は私がお助けしましょう」
1
最初 前へ 1234567 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ