封蓮貴~悲しい旋律~
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発行者:皇夜
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/09/16
最終更新日:2010/09/16 16:05

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封蓮貴~悲しい旋律~ 第2章 第1夜 依頼

「……おはよう、蓮」

愛羅を引っ張った張本人―水城蓮は、睨んでくる愛羅をものともせず、ニカッと笑った。
彼は、愛羅の唯一の自称親友だ。

「はよ、愛羅。そっちは旧校舎だぜ?」

「ちょっと用があって」

「倉庫化してる旧校舎に?」

「まぁね。それより遅い登校だね、蓮。
朝練は?」

蓮は弓道部に所属していて、毎朝欠かさず朝練に出ていた。
そんな彼が、こんな時間に登校なんて珍しい。

「あー…顧問が入院してさ、今日の朝練無くなったんだよ」

「入院?」

「なんでも宿直室から飛び降りたんだと。
幸い、両足の骨折程度で済んだらしいけど」

「…顧問の先生の名前って何だっけ?」

「確か、柳原拓郎(ヤナギハラ タクロウ)だった気がするけど」

「柳原拓郎…」

確か、渡された書類の犠牲者の中にそんな名前があったな、と頭の片隅で思い出す。
焔も同じことを思ったらしく、愛羅に視線を向けていた。

「なんだ?また家の仕事か何かか?」

愛羅の家系の仕事を大体は知ってる蓮は、考え込み始めている愛羅に尋ねた。

「ん?あぁ、まぁそんなところかな」

「そっか、まぁ『緋守家』は特殊だしな…。けどあんまり無理すんなよ」

お前は女の子なんだからな、と頭を撫でてくる蓮に、愛羅は苦笑いした。
蓮は、知らないのだ。
いくら愛羅の家系の事を知っていても、愛羅自身の事は、何も知らない。
当たり前だ、愛羅は、何も言っていない。何も話していない。
知らないほうが、蓮にとって幸せなのだ、と思っているから。

「―…愛羅」

焔の声に愛羅は分かってると眼で伝え

「蓮、僕は依頼をこなさなきゃならないんだ、だから…」

「分かった、こっちは何とかしてやる」

「ありがとう、助かるよ」

「そのかわり、無茶だけはするなよ」

「うん、約束する」

約束な、と愛羅の頭をもう一度撫で、蓮は校舎に向かった。
それを見送る愛羅の眼には、微かに寂しさが見え隠れしているのを、焔は見逃さなかった。
けれど、彼は口出しをしたりしない。
これは、本人の問題で、自分が何を行っても意味がないと悟っているから。

「……行くぞ、愛羅」

「―――うん、とっとと終わらせよう」

愛羅はキッと旧校舎を睨んだ後、中に入っていった…。
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