珈琲ゼリー ~ほろ苦オフィスラブ~
第4章 奈緒、舞い上がる
「あーあのね、昨日は主任にお説教されちゃった。お昼中、延々と」
にっこり。
「そうなの?そんなに怒ってるように見えなかったけどなぁ」
洋ちゃんがハフハフ言いながら、ポテトピザをほお張る。
「あの、もうね、怒るとか、そんなレベル超えてるみたい。ダメだねぇ、私、えへへ」
自分でそう言って、自嘲気味に笑ってみた。
そのまま、かぷりと、ピザにかぶりつく。
気がつくとテーブルがシーンとしていて、顔をあげると、三人とも、ピザを食べる手を止めて、ひどく不憫そうな顔で私を見ていた。
「え、あれ?」
困って、三人の目を見返す。と
「奈緒、お、落ち込むことないよ」
「そ、そうだよ、気にしないほうがいいよ、ねぇ」
「うん、元気出して、そのうちできるようになるって。ほら、これ食べな」
三人が一気に同情のセリフを向けてきた。最後の一切れのピザが私のお皿に置かれる。
しまった。そうとう同情されてる……。
うそなのに。なんか申し訳ない……。
「あはは、私、気にしてないよ。あの、主任もがんばれっていってくれたし」
「そ、そうよね」
「がんばれ!」
「大丈夫よ、ドンマイ!」
みんなの気遣いが身にしみる。
……ごめんね、みんな。
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