珈琲ゼリー ~ほろ苦オフィスラブ~
第4章 奈緒、舞い上がる
「あの、主任、いまのってどういう……」
私、また何かやらかしたのだろうか。
でもそれにしては、なんだか様子が違う。
表情が怒ってないというか、ちょっと優しい声色だし。
「美村、なに食べたい」
「はい?」
「何がいい、って聞いてるんだが」
「……パ、パスタ、ですかね」
じゃぁ行くか、と主任は席を立った。
スタスタと事務所を歩いて行くその背中を、私もちょこちょこと着いていく。
なんだろう。
私をランチに誘ってくれている?
それは嬉しいけど、背中に羽が生えて飛んでいくくらい嬉しいけど、でも、なんで?
けれど主任の車に乗せてもらって、5分くらいで小さなパスタ屋につくころには、そんな疑問もすっかり忘れて、私は舞い上がっていた。
また主任の車に乗せてもらったこと。
二人でこんな、おしゃれな感じのパスタ屋さんに来れたこと。
これってさ、これってさ、デートみたいじゃない?なんて。
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