珈琲ゼリー ~ほろ苦オフィスラブ~
第3章 誤解のはじまり
「あんたはそうなの?」
「は?」
「春樹は、告白してきた子ととりあえず付き合ってみるの?」
「あぁ。まぁまぁ好みならね。それで、すげぇ気があうこともあるし」
そんなのって、どうなの?
好きじゃなくて、付き合えるの?
はいって言っておいて、やっぱ合わないからバイバイとか
みんなそうなの?
恋愛ってそういうもの?
「あのさ、姉ちゃん。付き合う前から、お互いが同じ思いなんて、すげぇ奇跡だよ?」
「そうだけど」
「逆だったら」
「え?」
「逆だったらどうだよ」
「逆?」
「そう。姉ちゃんがすっげえ好きな人に告白して、自分のことよくも知らないのに振られるの。付き合ったら、ずっげぇ合うかもしれないのに、その可能性も試さずに振られるの。『キミのことよく知らないけどもしかしたら、合うかも知れないから付き合おうか?』って言われるのと、どっちがいい?」
勝ち誇ったような顔で、春樹は私の顔を見てる。
私は真っ先に、主任に告白したシュチュエーションを連想した。
そりゃぁ、どっちかって言えば、付き合えるほうが嬉しい、に決まってる。
相手には、そうしてほしいよ。振る前に、ちゃんと自分のこと見てもらいたい。
たとえ、どんなに、惨めな気持ちになっても……。
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