珈琲ゼリー ~ほろ苦オフィスラブ~
第1章 ほろ苦オフィスラブ
「奈緒~また斉藤主任に怒られてたね」
お昼休みは女子社員四人で、
近所の飲食店を転々とめぐることになっている。
今日は小さなカントリー風の喫茶店。
「私がミスしたから……」
「でもさぁ、絶対主任、美村さんばっか目の仇だよね。たとえば相手が咲田さんだったらさぁ」
「そうそう、『直しといて』で終わりだよねぇ」
私は食べかけのオムライスに目を落とす。
嫌いなタマネギを、皿のすみによけて。
それは咲田さんが美人だから?
普段からミスしない人だから?
私が、どんくさいから?
それとも……私が嫌いだから?
私は、正直いって、この課に配属された時、嬉しくて仕方がなかった。
背が高くて、俳優さんみたいにかっこいい斉藤主任。
初めて彼を見た時、自己紹介でみせた彼の笑顔は、私の全身にビリビリと電気を駆け巡らせた。
あぁ一目ぼれって、こうゆうことなんだって。
文字どおり私は、肌で実感したんだ。
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