今のところ、利益を上方修正、無用な負債控除をなくす修正を行ったことに
より、株式価値は上がらなくてはならないのですが、既に発表している
株価予想を変えたくないばっかりに、利益にかける倍率(今回はPER)を
下げてきたのです。
予想利益成長率はまったく変えていないのに。
ふー。
ここの議論を読者の皆様に解説しますと、利益をa、割引率をrとすると、
株価Pは最も単純化するとP=a/rになります(高校数学の等比数列を
見返してみてください)。
ここで1/rと書くとややこしいので、計算すると、
rが5%だと、1/rは20
rが4%だと、1/rは25
rが1%だと、1/rは100
となり、この20、25、100というのが利益にかける倍率、つまりPER等となり
ます。
そして2年目以降、aがg%づつ増加する場合は、P=a/(r-g)となります。
成長率gが大きければ大きいほど、分母は小さくなり、利益を小さい数字で
割ると株価は大きくなります(当たり前ですね)。
PERを下げる為には、gが不変の場合はrを弄らなければならないのですが、
その辺の合理的説明はなかった模様です。
こういうシッチャカメッチャカなことをされては、楽天も
「以上に鑑みて、当社としては同氏による過去及び将来のレポートは当社への
投資判断の一助とはなりえないと判断しており、投資家の皆様におかれても
参考とされないようお勧め致します。また、当社は今後同氏の取材については
一切お受けしません。」
というしかないと思われます。同情します。
今回の楽天-三菱UFJM事件の根にあるのは、a) 新聞記者のようなヒアリング
だけ得意で分析が一人よがりなタイプの採用、b) 会社としてコスト削減を
優先していて、ロジックエラーが含まれるレポートを公開前にチェック
できない体制、c) 人気アナリストランキングのような機関投資家への接待
上手ランキングが幅をきかせている業界環境、だと思います。
過去には、オリックス-ドイチェ事件、
http://www.orix.co.jp/grp/pdf/news/doitsushoukenn.pdf
ソフトバンク-カリヨン事件、
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-26101020070523
と同種の事件が発生しております。