愛のカケラ
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発行者:バインシャルフ
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2014/12/11
最終更新日:2014/12/11 21:10

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愛のカケラ 第1章 『不幸はある日突然に・・・』

「ちょっと・・・もう・・・頭にきちゃう」

 香織はまるで獲物に逃げられた
 肉食動物のように地団太を踏んでいた。

 香澄はキッチンに戻り、食事の支度をしながら
 くつろぐ文哉に気を取り直して話し始める。

「そんなことより貴方からも卓也に勉強するように言ってよ」

「卓也 なんかあったか?」

「学校の成績がここのとこヒドイのよ
 部活、部活ってもうほんとに・・・」

 文哉は、昔の自分を思い出しながら、ぶっきら棒に
 応える。

「受験は来年だし、今年くらいはいいんじゃない?」
(中学生の時くらい好きなことやらしてやれば
 いいものを・・・)

 香澄は、文哉の人任せな態度に手を止めた。

「それじゃあ遅いのよ・・・もう・・・?
この封筒何?」

「えっ あっそれ健康診断の結果
再検査だって・・・」

「再検査てどこか悪いの?」

 先ほどまでの母の顔から一瞬で妻の顔へ
 女性とは変幻自在な生き物である。

「お前 目の前の俺を見てどっか悪ように見える?」

 自分の心配をする香織に少し照れながら文哉が応えた。

「うーん・・・でも家のローンも残ってるし・・・
 子供の塾代もあるし・・・体には気を付けてよね」

 (俺の体よりも金か)

 香澄の現実的な意見に言葉も出ない。
 
「そんなに心配なら・・・お前も働けよ!!」

「専業主婦だってなにかと忙しいんです!!」

 こういった話への香織の反応は、
 ウサイン・ボルト並みに俊足だ。
 これ以上の深追いは返り血を浴びる
 恐れもあるので、あっさり引き上げる。

「はいはい・・・来週休みとって病院行ってくるわ」

「送ってあげようか?」

「あのさ。子供と違うからいいよ」

 子供扱いする香織に少しムッとしながらも、
 それ以上何も言わなかった。
 ましてや再検査の事も
 たいして深く考えてもいなかったわけだが・・・

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