羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第3章 失意の中で
「今日学校で先生に聞かれたから、毎日家にいますって答えたら、先生が、夜のお仕事なんかなあって言うてた」
「そうか。
 そしたら、もうお父さんは死んだ言うとけ」
「アホなこと言いなや」
 蒲団を敷き終えて寝室から出てきた妻が俺の腕を掴んだ。
「もう酔っ払いは早よう寝え」
 無理矢理蒲団に入れられた俺は「おいっ」と声を上げた。
「ほんまに死んだほうがええかもしれんなあ。
 このまま、うまいこと次働くとこが見つかっても、給料はちょっとしかもらわれへんし、たとえ六十まで働けたとしても、中途採用やから退職金もしれてるやろうから、おまえらにはええ生活させてやれんからなあ。
 それやったら、もし今死んでみ、マンションのローンはチャラになるし、保険金も確か四千万くらいは入ってくるはずやから、おまえもパートとしながらやったら二人でなんとか暮らしていけるやろ。それか、もうちょっと、五千万くらいに保険金増やしとこか?」
「増やしてくれんのは有り難いけど、あんまり毎月の保険料高なったらしんどいで」
「よっしゃ、それやったら一回生命保険のおばちゃん呼んで色んなシュミレーションやってもらお」
「はいはい、わかったからもう寝え」
 妻が寝室の襖を引くと、俺は掛け布団を被り、すぐに深い眠りに落ちた。

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