羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第3章 失意の中で
「二月に会社を退職しまして、現在就職活動中なんです」
〈わかりました。
 勤務は週に何日くらい可能ですか?〉
「そうですね、もう歳なんで、三日か頑張って四日くらいだと思うんですけど」
〈ありがとうございます。
 期間は長期でしょうか?〉
「いえ。
 次の仕事が見つかるまでの間だけお願いしようと思ってるんですけど」
〈それは大体どれくらいの期間になりますか?〉
「そうですね、うまく見つかっても今からだと最低一ヶ月は掛かると思うんですけど」
〈それはちょっと無理ですねえ。
 短期といっても、最低三ヶ月は勤務していただかないと、やっと慣れてきたと思ったときに辞められるとうちとしましても〉
「そうですか・・・」
〈誠に申し訳ないですけど、また、お願いいたします〉
 店に戻ると、残っていた熱燗をあおりもう一本追加した。

 厚揚げと大根で二合徳利を三本開けて店を出ると、陽がすっかり短くなった晩秋の空はわずかな星をちりばめ、黒く塗り固められていた。
 さすがに、サドルにまたがりペダルを踏むと、自分ではまっすぐ進んでいるつもりが、自転車は右へ右へと逸れて行き、傍らを歩く通行人にぶつかりそうになりブレーキを握る。
 目敏くその様子を見つけた客引きの若い男が駆け寄ってくる。
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