羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第3章 失意の中で

「あんたじゃ話ならへんわ、責任者と代わってくれ」
 巡ってきたと思われた運気は、いとも簡単に逃げ去った。
〈すいません、今ちょっと席を外してるんですけど〉
「じゃあ、その次の人と代わって」
〈そういったものはいないんですけど・・・〉
 面接から十日掛かってきた郵便局からの回答は“採用”だったが、働く期間が十一月中旬からではなく十二月中旬からになっていた。
「そらお宅らにもな、人を雇うほうの都合ってのがあると思うけど、こっちはこっちで働くほうの都合ってのがあるんや。いつまでにこれだけの金がほしい、だから探して面接受けに行くんや。まだ俺の場合はなんとか生活やりくりして凌ぐけど、中には、あんたんとこで働いたお金を年末からの旅行のお小遣いに充てようと思ってた人がおったかもしれんで。そんな予定が全部狂ってしもうて、へたしたら旅行に行かれへんようになってあんたら訴えられるかもしれんで」
〈ですから、予定以上の応募があったものですから・・・〉
「それやったらそれでもっと早う連絡頂戴なあ。
 人の人数くらい十〇分もあったら数えられるやろ。
 それやったら、こんな無駄な十日間過ごさんと、次の仕事探せたんや。
 おまえらそんなんやから民営化されるんじゃっ!!
 このボケがっ!!」
「そんな大きな声で怒らんでもええやんかっ。
 周りの家にもまる聞こえやでっ!」
 ベランダで洗濯物を干していた妻が慌てて居間に戻ってきた。
「アホかっ!
 世の中、なんか、おかしなってもうとるんじゃっ!」

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