羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第3章 失意の中で
「いやあ、やっぱりもう三十八歳いうのはダメなんですよ」
「そうかなあ・・・いや、私も山田さんと同級生なんですけど、本当にそんなものなんですかね・・・」
「(嘘やと思うんやったら一回会社辞めてみはったら)そんなもんですよ」
 そのあと面接は“竹井”とのたわいない会話に終始し、面接と言うよりは、喫煙室で久しぶりにあった同期入社の人間との立ち話、という感じだった。
「来週の面接が終わってから選考を始めますので、二週間ほどで結果をお知らせします」

「これ、郵便局からのやつ」
 妻は机の上に封筒を置いた。
「どうする、もうご飯食べる?」
「いや、今日は喋り疲れたから、先ビール飲まして」
 妻は箸とカレイの煮つけの乗った皿を持ってきた。
「どんな感じ?」
「まあ、あんなもんやろな。
 どっちとも同じ歳くらい、片一方なんか同級生やったよ、面接してくれた人が。
 気持ち良く喋れたし、俺の気持ちもわかってくれたんちゃうかな」
「あんた、馴れ馴れしい喋ったんちゃうの?
 なんぼ歳がいっしょくらいやから言うても、向こうはあくまでも面接官やねんで。
 あんたは試験受けてる受験生やねんから、その辺わきまえて喋らんと、なんや馴れ馴れしい奴やなって思われるで」
「アホか。
 営業マンは喋ってなんぼやねんぞ。
 初対面の人間と会うても、なんやかやなしに喋って、その場を取り繕わなあかんねや」
「それはそうやけど、やっぱりある程度わきまえんと。
 もしあんたが面接官やったらどう思う」
「黙っておどおどしてる奴よりはマシやと思うけどな・・・」
「そうかなあ・・・」

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