羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第1章 俺様・・・ハローワークにて

 妻の予想は当たった。
 四月になっても五月になっても、そして、雇用保険の支給が始まる初めての失業認定日(あなたは間違いなく失業していますと認められる日)の六月の最後の金曜日になっても、高木さんからの電話はなかった。
「ほらな、私の言うた通りやんか」
 妻が、晩御飯の定番になりつつあった野菜炒めに次いで昼御飯の定番になりつつあったカップラーメンにお湯を注ぎながら言った。
「アホか。
 高木さんわな、俺の経歴と照らし合わせて、しょうもない会社紹介したら失礼にあたるなと思って、慎重になってはんねや。
 分数でけへん学卒やったらどこでもええわで済むけど、K大学出たエリートにはそんなことでけへんと、あの人自身もエリートやからその辺はわかりはるんや」
「はいはい、エリートの話はようわかったから、早よ食べて行ってきい。貰えるもんも貰われへんようになるで」
「雇用保険なんかまさか貰うなんて夢にも思わんかったわ。ほんま、屈辱や」
 俺の本心だった。

 指定時間ぎりぎりにハローワークに入ると、フロアーには三十人くらいの受給者が国からの“お恵み”を待っていた。
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