羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第3章 失意の中で

 駅から十分ほど歩いた、雑居ビルに毛の生えた程度のビルの中に、会員制のリフォーム会社の事務所はあった。
 エレベーターを降りると、その会社名に大阪出張所と付け足された白いプレートの貼られた扉をノックした。
「面接に参りました山田と申します」
 十坪もない、事務所と言うよりはブースと言ったほうが良さそうな狭い事務所の間仕切りの向こうからスーツ姿の男性が「お待ちしておりました」と言って出てきた。
 名刺に課長補佐と書かれたその男性は、辞めた会社の役職も同じなら、歳も同じ位だった。
「どうぞお掛けください」
 椅子に腰を下ろすと間仕切りとの間に隙間はなかった。
「会社の概要ですとか仕事の内容などは募集要項を読まれていてほとんどご存じかと思いますが、もう一度こちらのビデオを見ていただいてご確認ください」
 下手な鉄砲を数撃つのに忙しく、ほとんど募集要項など読んでいなかった俺はその三十分程度のビデオを真剣に見た。
「だいたいご理解頂けましたでしょうか?」
「ええ」
「何かご質問とかは?」
「会員さんは大体どれくらいいらっしゃるんですか?」
「約五万世帯です。
 年間会費を三千円頂いていますので、それだけでも一億五千万円になります」
「へーっ、すごいなあ。
 せやけど、それだけの数の会員、どうやって集めたんですか?飛び込み営業は一切無いって書かれてましたけど」
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